<ウィニー問題>防衛庁の公務PC、私物が半数、警察は4割

ウィニー

 ファイル交換ソフトWinnyウィニー)」を介し捜査情報などの重要データがネット上に流出した問題で、毎日新聞は府省庁や地方自治体、警視庁、道府県警など計123機関から聞き取り調査を行った。

 防衛庁を除く府省庁や自治体では公用パソコンの配備が進み、業務で使われるパソコン(PC)のうち、私物PCはわずか0.1%だったのに対し、防衛庁では約半数、警察では約4割が職員の私物を使っていた。専門家は、こうしたPC不足も背景の一つとなって、流出につながったと指摘している。

 調査対象は、内閣府総務省など15府省庁と47都道府県、14政令指定都市、警視庁など47都道府県の警察。
 15府省庁では計約37万4000台のPCを公務に使用していた。うち約7万台が職員らの私物で、そのほとんどは防衛庁で稼働していた。なかでも陸上自衛隊では公用が約2万台なのに対し、私物は3倍を超える約6万3000台にのぼった。

 一方、他府省庁では「1人1台の公用PCを配備」(内閣府総務省など)と基本的に職員全員に配備しており、私物はないと回答。
「3万台以上あり、足りているので私物はゼロ」(農林水産省)、「アルバイト職員分も含めて配備」(文部科学省)と充実ぶりがうかがえるケースもあった。

 また、都道府県や政令指定都市(一部教育委員会を含む)では、ほとんどの自治体が「私物PCの持ち込みは禁止」としており、私物PCが公務使用されていたのは、奈良、岡山の2県のみ。
千葉県、名古屋市沖縄県などは、私物PCの実態は不明と回答した。いずれも私物の公務使用を原則認めておらず、公用以外は庁内ネットワークには接続できないなどの仕組みを取り入れている。

 一方、都道府県警察で私物PCを公務使用していないのは、公用PCを3万5000台導入している警視庁のみ。47のうち4割近い18府県警が公用PC台数よりも私物の方が多かった。

 山梨県警では、公用137台に対し4倍以上の私物PC555台が使われていた。「財政難で05年に新規購入したのは4台のみ」(青森県警)、「公用の増設を検討するが、予算が厳しい」(高知県警)など、整備の遅れを財政難の責任とする回答が目立った。

 ▽森井昌克・神戸大教授(情報通信工学)の話
 警察組織はまず捜査が大事で、情報化に重きを置かなかった。予算をつぎ込まなかった結果、組織として乗り遅れた。拳銃を自宅に持ち帰る警察官がいないように、扱う情報の重さを考えると私物パソコンの持ち込みや、データ持ち出しは本来考えられない。私物パソコンの公務使用の横行が、データの取り扱いに慎重さを欠く結果につながったとも言えるのではないか。

 ウィニー問題では様々な実態が明らかになった。もちろん逮捕された作成者だけが悪いのではない。もちろん裁判で明らかになるであろうが警察もはなはだ問い詰める所を間違えているように思えてならないのである。

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